1972 100分 フランス
【名匠ジャン・ピエール・メルヴィル監督の遺作】
【絶頂期のアラン・ドロンを主演に迎えた犯罪ノワール】
警察署長と犯罪者、宿命の対決!2人は固い友情で結ばれた親友だった。
パリ近郊の町で銀行襲撃事件が発生した。犯人はナイトクラブの経営者シモン(リチャード・クレンナ)を首謀者とする4人の男たち。
情婦(カトリーヌ・ドヌーヴ)を巻き込みシモンは続いてリスボン行きの列車内で行われる麻薬取引現場の襲撃を計画。
駅で目を光らせる友人の警察署長コールマン(アラン・ドロン)を出し抜き、走行中の列車にヘリから乗り移る荒技で
まんまと麻薬を強奪してしまう。だが、執拗な捜査を続けるコールマンが、2つの事件の黒幕がシモンであることを見抜き・・・。
鬼警察署長に扮して悲哀漂うドロン(太陽がいっぱい)、野心家の犯罪者を人間臭く演じるクレンナ(ランボー)
そして2人の男の間を揺れる美女にドヌーヴ(輝ける女たち)を配置。
青を基色にした渋い映像、、淡々としながら緊張漂う演出はノワールの名手、メルヴィルならでは。
〔内容〕キネマ旬報データベースより
amazonより
このジャケットの方が断然カッコいいと思います!
この監督さんの作品初めて見ました
冒頭の海辺の街で潮騒をバックに無機質な白いマンション(人の気配が全く無い)の前を黒い大きな車がゆっくりと進んでいくシーン、鳴きながら空を飛ぶ鴎、パリの街に灯が点る瞬間のシーン(ここ特に感動)、緊迫の銀行強盗シーン、死んだ娼婦の顔とコールマンの顔が交互に映し出されるシーン。。。etc端から印象的なシーン多数
台詞が必要最低限しかなく各人の表情と仕草が全てを語るところが痺れた~(T_T)
☆オチのネタばれは無いけどいくつかのシーンに触れます☆
特に好きだったシーンは最初に捕まった犯人が署でコールマンと向き合うシーン
犯人が部屋に入ってきてから約一分半程台詞が無く犯人とコールマンの表情が交互に映る
犯人は終始薄ら笑いを浮かべ「さてお手並み拝見」(吐かせられるもんならどうぞ)というところ
対しコールマンはポーカーフェイス
(この時アラン・ドロンの顔がアップになるがそれがとにかく美しい。漆黒の髪、紺碧の瞳。無表情のところがその美しさを際立たせます。この世のものとは思えぬ美しさです。)
コールマンがおもむろに犯人に歩み寄り煙草を咥えさせ火をつける。犯人は手錠をつけた手で煙草を吸う
ここでコールマンが口を切る
犯人はまだとぼけているが間もなく表情が曇る
この一連の流れが好きです
ここで残りの犯人の隠れ家が映り「あいつは吐かない。」とシモンが仲間に言う
それに続くシーンも好きです
いよいよこれから犯人を吐かせるというシーンですが取調室のブラインドが一つずつ下ろされライトが点き犯人を照らす
このテンポがいいんです
これから手荒なことが起こるんだろうなと思わせるけれど取り調べのシーンは無い
このスマートさがいいですね~
そしてやっぱりブルートーンなんですよね
このシーン各刑事の個性が出ていて最高です
特に左から二人目の刑事だけ仁王立ちで両手が前に出ていて鼻息の荒さが伝わります(笑)
左の刑事の視線もいいですね~
コールマンはさて始めようかという感じですね
見せ場のシモンがヘリコプターから列車に降りてトランクを替えるアクションシーンは磁石で部屋の鍵を開けるシーンは面白いけど現実味が無かった
あと列車と並行に進むヘリコプターを引きで映すシーンはどう見てもミニチュアの模型にしか見えずそれが気になった
あとドヌーヴが白衣で病院に忍び込むシーンも忍び込むと言うより堂々と正面から来ていたので(どさくさにまぎれてはいたけど普通は正面玄関から白衣を着たナースが夜に入ってくることは無いと思うので?それにあんな美人でブロンドのナースがいたら逆に目立ちすぎます笑)そこもちょっと違和感があった
まぁ映画の面白さと言えばそうなんですが
因みにあのシーンでは『哀しみのトリスターナ』のラストシーンを思い出してしまいました~
世紀の美男美女の2ショットは勿論美しいですが淡々とした感じでした
それよりもシモンの店のカウンターでシモン、コールマン、その恋人(ドヌーヴ)の3ショットの微妙なトライアングルの雰囲気が良かったなぁ
あとコールマンに情報提供をしていたのにシモンのせいでコールマンに罵倒されたお姉さんの女らしさ(コールマンに会う前に一瞬コンパクトを見て顔を直しているシーンが好き)と罵倒されたあとの哀愁の表情、奥さんと一緒にいた気の弱そうなシモンの仲間の常に悲壮感漂うところも良かった
お姉さんは可哀想だったね(T_T)
あとこれを見た人は皆同じことを思うでしょうが情婦(ドヌーヴ)が罪に問われないのは甘すぎです~(笑そこが粋ということなのでしょうか)
因みに原題(UN FLIC)は『警官』なのでリスボン特急という邦題は作品のテーマと合っていないんだな~と見て知りました
英語のタイトルのDirtyMoneyもあまりピンと来ない
原題(UN FLIC)は最高にカッコいいと思う
私がとても大好きなフレンチノワール『そして友よ、静かに死ね』(長いねこの邦題!笑 リヨンのギャングたちの話です)の原題もLES LYONNAISでこれもUN FLICと同じシンプルでそのものずばりの凄くカッコいいタイトルだなぁと思ったのでしたが邦題は原題とかけ離れたものになるのは言葉のニュアンスが違うから仕方ないとは思うけれど (-_-;)
『リヨンのギャングたち』じゃ間が抜けるので(^_^;)
(映画の話ではないがニール・ショーンが「一言のアルバムタイトルがいい。」と言っていた気持ちも分かる気がする。Raised on Radio(このタイトル)は好きじゃなかったということで(^_^;)
私もラジオ育ちですが!因みにこのアルバム好きです)
ということでとてもタイプだったのでジャン・ピエール・メルヴィル・ボックスがあれば買おうと思ったがどうも無いらしく?残念m(__)m
DVDも色々レヴューを見るとどうもあまり品質がよろしく無いらしい?
IMDbの作品ユーザーレヴューでもよく見かけますが昔の公開当時の作品を館で観ている人は大体DVDの内容、品質が良くないと言っている人が多いですね
こういうお話はとても参考になりますね
でも私たちは今あるものを選んで見るしか無いのですがなるべくオリジナルに近い状態で見たいですね
とりあえず『モラン神父』が特に見たいなぁ~!!
ブロンソンの『メカニック』(同じ1972の作品)を見た時も思ったけどこの時代の映画はカッコいいな~と思いました
今の時代には絶対無い作品ですよね
TV(CS)にて
★★★★★★★