娼婦と鯨

 

 

アルゼンチン　スペイン　

　２００４　１２０分

 

劇場未公開

 

 

１９３０年代のアルゼンチン

恋に落ちた写真家のエミリオと娼婦のロラには悲しい運命が待っていた

自らも病に侵され悲しみに打ちひしがれながらもエミリオとロラの物語を書くことを決意した作家のベラは二人の恋の終焉地となったパタゴニアへ向かう

７０年前の愛の軌跡を辿って行くうちにベラは自らをロラと重ね合わせて行く・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

いや～・・・久々に超ドラマチックで私好みの作品を見たな～と(゜.゜)（←感動しすぎて廃人）

先日ペドロ・アルモドバル監督の『抱擁のかけら』を見た時も思ったけれど悲しく狂おしく因縁深く官能的で美しい物語（言葉にするとちゃちな感じがするけれど）はスペイン語圏作品に限りますね～

・・・と思わず言いたい位良かったです

 

 

こんなにいい作品が何故劇場未公開なのか？？？

信じられな～い(T_T)

 

 

ストーリー、映像、役者、音楽どれも秀逸と思う

特にパタゴニアの美しい海と鯨

エメラルドグリーンと今まで見たことが無い青の色の海。（鯨はＣＧも使っている様だったが自然映像も使っている？詳しい資料が見つからなくて分かりませんでしたが）の映像はタイトルにもある様にこの作品の肝で一度見たら忘れられない鮮烈な印象

 

 

もう一つの肝はアルゼンチンタンゴ（音楽＋踊り）

この作品の中の彼らの人生はタンゴを通して語られていると言い切っても過言ではありませせん

 

アルゼンチンタンゴの発祥は昔アルゼンチンに移民としてやってきた人々が現地の言葉が分からずどうやって現地の人たちと親しくなるか（平たく言うとどうやって軟派するか）ということから言葉を使わなくても良い踊りを考案した

それがアルゼンチンタンゴの発祥だと聞いたことがあります

 

そう、タンゴは愛の踊り（音楽）

男と女の駆け引きの賜物、ひいては人生そのもの

その意味でもこの作品には不可欠なもの

 

実際タンゴのシーンが秀逸で切なく美しい旋律（主役バンドネオン）、この瞬間の為に生きているとでも言うような嬉々としたミュージシャンの表情、踊る時の官能的で物憂いロラの表情等正に人生の縮図といった趣

 

楽しくタンゴを踊る為には時々電球も必要です（←この作品を見ると意味が分かります(*^_^*)

（因みにこの電球の意味はアルゼンチンタンゴを習ったことがある私には分かります。ちゃんと意味があります）

 

 

 

 

 

「バンドネオンも女と同じで正しく扱わないと呻かない。」

 

とは劇中のあざといバンドネオン奏者スアレスの台詞

 

この際どい台詞からもこの作品が大人向けであることが窺がわれますが実際官能的ではあるけど嫌らしさはありません

 

なので多くの人に見ていただきたいです

 

 

ベラが二人の愛の軌跡を辿る内に当事二人に関係していた人々とその子孫の人生が垣間見れるのも味わい深かった

 

タイタニックに乗船していて一時は命を諦めるも土壇場で助かった細野晴臣さんのお祖父さんを細野さんが

 

「彼の命が正しかったのであれば僕の命も正しい。」

 

と言っていたことを思い出したが脈々と魂は受け継がれる（或いは因縁も。或いは愛も）とこの作品を通して感じました

 

 

因みに私的一番のお薦めシーンは最後のクライマックスシーンです

息を呑む美しさです

 

 

 

 

お薦め作品です

 

 

ＴＶ（ＣＳ）にて

☆☆☆☆☆☆☆☆