2002 韓国 132分
前科者の青年ホン・ジュンドゥと重度の脳性麻痺の女性ハン・コンジュの痛くて幸せな純愛物語
DISCASの予約リストでずっと一位にしておいてんだけどず~~~~っと来なくて
でも!
「絶対にこれを見るまでは休会しない!!」
と思っていた作品
やっと来ました
待った甲斐はありました
韓国作品にはぐうの音も出ないと思う衝撃作は少なくないと思うけどこれも又凄い作品でした
私はこれを見て過去にも度々触れてきましたが私の大好きな韓国作品『私たちの幸せな時間』を思い出しました
共通点は主役の男女が
「社会から阻害されている二人」
周りに自分を理解してくれる人がいない
身内にも大切にされていない
生きることに希望を持てない
でも何とか生きようとしている
そんな二人が恋に落ちお互いへの愛を通してオアシスを見つける
そういう話です
☆雰囲気プチネタバレ注意☆
『私たちの幸せな時間』で一番思ったのはお互いの生い立ちが不幸すぎることに全ての不幸の始まりがあること(これは貧困や暴力といった社会問題が根底にあります)
そういう不幸な立場の人々に対して周り(世間)からの愛情と理解があまりにも欠落している
オアシスも社会のそういう現状を痛い位描いている作品です
それ故二人の純愛を貫く姿が胸に突き刺さりました
ところで『私たちの幸せな時間』では二人の心が通っていく過程に疑問は無かったんだけどオアシスの場合途中で
「え?????(゜.゜;)」というあり得ない展開があって・・・
ああいう展開で恋に落ちるものだろうかと疑問に思ったけど・・・(普通は落ちない。特に女なら絶対。)
恋に落ちるのに理由は無いんだなぁと
『姫と将軍』(二人はお互いをそう呼ぶ)は出会うこと、恋に落ちることが運命だったらしい
それで二人が幸せを感じたのならそれで良かった
コンジュは夜な夜なアパートの部屋の中に映る揺れる木の陰に怯えていてジュンドゥはそれを「魔法で消してあげる」と言う
ジュンドゥは前科者で泥棒だけどコンジュの繊細さを分かってあげてカバーしてあげる優しさがある
私も繊細なタイプだけど(子供の時雨戸が風でガタガタ揺れる音が凄く怖かった)今まで生きてきてそういう繊細さを「ちゃんと」分かってくれる人に出逢ったことは無い
大体は「分かるよ。」とか言うけど本当は分かっていない
ジュンドゥの純粋な優しさ、コンジュへの理解が本物であることは最後の手前のシーンで証明されている
おバカな私は初め意味が分からなかったが彼の行動の意味を理解した瞬間感動して口をぽかんと開けてしまった
なので私はその点では純粋にコンジュが羨ましい
最後まで見終わった時は涙が止まらなかった(T_T)
私が今まで見た純愛物語の中で最も痛くて最も感動した作品と思います
監督さん(イ・チャンドン)は小説家出身の方でいくつもの文学賞を受賞しているそうですがオアシスもそのまんま小説の様な作品と思います
これを小説にしたらどんな感じなのでしょう
読んでみたいです
この監督さんは『シークレット・サンシャイン』見て超感銘を受けてこの監督さんの作品は全部見なければと思いDISCASで予約リストの一位にオアシス、二位に『ペパーミントキャンディー』(こちらもオアシスで主演の二人が競演している同監督作品)にしてやっとオアシスが見れたけどペパーミントキャンディー(今一位にしてます)はお届け率が凄く低い作品なのでいつ来るか全然分からないけど気長に待つ(T_T)
因みにオアシスはヴェネチア国際映画祭で監督賞他トリプル受賞をしているそうですが(今imdbで見たら4つになっていましたが)こういう栄誉ある名作を簡単に見ることができないきょうびの映画ソフトの流通事情はどうなっているのか!?といつも思うm(__)m
主演のムン・ソリさんは今作を撮影中3度病院に行ったそうです
常に無理な体勢をとっていたので骨盤と脊椎が歪んだそうですがリハビリと運動で元に戻ったそうです
役作りの為に実際に脳性麻痺の女性二人と友人になって半年間一緒に暮らしたそうでした
本当にプロだな~と思います
しかも
「受賞したことが良いのかどうか。今後の役者人生の為にも(受賞したことは)早く忘れて欲しい。」
ヴェネチア国際映画祭である記者に「この世に正義があるならばあなたが受賞するはずです。」と言われたことに対して
「正義が全てではありません。」
等とても賢明で聡明な方だな~と思いました
因みに今作のラストシーンで田辺聖子さん原作の邦画『ジョゼと虎と魚たち』を思い出しました
やはり障害者の女性と健常者の男性の恋を描いた話です
☆ネタバレ注意☆
ラストシーンのジョゼの日常の何気ないシーンを見て彼女の未来に思いを馳せた方は多かったと思いますが(私もそうでした)コンジュにも同じ思いを抱きました
どうなろうとも幸せになって欲しいと
DVD(レンタル)にて
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆