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アンナと過ごした4日間




2008  94分  ポーランド/フランス

ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキ監督が17年ぶりに手掛けた異色のラブ・ストーリー。長年祖母と2人暮らしだった独身中年男の不器用な愛の暴走を、セリフを極力排したサスペンス・タッチの展開にユーモアを織り交ぜつつ、絵画的な映像美でリリカルに綴る。
ポーランドの地方都市。病院の火葬場で働くレオンは、中年になった今も年老いた祖母と2人暮らし。木訥とした彼は、数年前にレイプ事件を偶然目撃してしまい、不運にも濡れ衣を着せられ逮捕されてしまった過去を持つ。しかしレオンは、その時の被害者である看護師のアンナに心奪われてしまう。そして、いまでは自宅の窓から双眼鏡で彼女の部屋を覗くことが日課となっていた。アンナへの恋心は日増しに高まり、ついに、祖母が亡くなってまもなく、あるとんでもない行動に出るレオンだったが…。


allcinemaより





久しぶりにとても好みの映画でした。
一言で言うと中年ストーカーおじさんの悲恋話です。レオンは自宅近くの看護師寮に住んでいるアンナに恋をして日々彼女の部屋を↑の画像の様に覗き、それが生き甲斐となっていてその想いがどんどんエスカレートしていってしまいます。
そのくせ例えば街の食料品店で偶然彼女と居合わせても話しかけるどころか目を合わせることさへできずそそくさと逃げてしまう。彼女をレイプした犯人に仕立て上げられてしまっているので(彼は偶然その場に居合わせて通報しただけなのですが)そういう事情から顔を合わせられないのだとは思うけれど多分そういう事情がなくても元から人とコミュニケーションをとるのが苦手なのでアンナと普通に話すことはできなかったのかなぁと思いますが。
彼は(詳しくは語られませんが)生い立ちが訳ありだった様なのでそれがコミュニケーション能力に欠ける大人になってしまった原因と思われとても可哀想に思いました。

彼はその後してはいけないことをしてそれは紛れもない犯罪なので(勿論覗きも悪質な犯罪です)同情の余地は無いのですが私はとても同情してしまいました。
元は悪い人じゃないし育ててくれたお祖母さんの晩年の面倒も看ていました。ちゃんと人間らしい心を持っているのだけれど多文恋をしたこともないし女性との接し方も分からなかったのかもしれません。なので歪んだ形でしか接することができなかったのだと思いますがそこに悲哀を感じましたm(_ _)m

彼が(アンナは全く知らないのですが)スーツを着て手に花束を持ってアンナを「愛しい人」と呼ぶのが切なかったなあ(TдT)/

最近スコリモフスキ監督の初期の作品を見ていますが昔の作品は実験的な映像の連続という感じだし監督も若かったので自分が俳優として出ているものではけっこう激しいアクションを自らやったりして若さ迸るという感じでしたが今作はそれよりはずっと落ち着いた雰囲気でした。それでも暴力シーンはやっぱり尖っているなあと思ったし人間の手を焼却炉で焼いているシーンや牛の死体が川を流れていくシーン(あの牛の死体は作りがイマイチと思ったけど)はサスペンスタッチで不思議な雰囲気だったしアーティスティックな映像も多く、私は特にアンナがもっとよく見える様に大きな窓を自分で作ってその傍に座って外を眺めるレオンの姿を後ろから捉えたシーンはそのまんま一枚の絵画の様で印象的でした。
一瞬だけどインパクトのあるラストシーンも良かったです。


私が一番好きだったのはアキ・カウリスマキ作品に共通する様な不器用だけれど本人は頑張って生きている人だけから感じられるなんとも言えないしみじみ感でした。


レオンがしてることは正しくないけれど彼の中ではとても必死。そこが私は好きでした。


TV(BS)にて
★★★★★★★★

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